4.ダニの種類と被害

 

実験の名称:

セキスイ畳表とイ草畳表上に係留するダニ数の観察実験

検体:

  • セキスイ畳表
  • イ草畳表

供試虫:

ケナガコナダニ、Tyropagus purtrescentiae。1979年、名古屋市内採取、以後累代飼育中のもの。

実験方法:

高さ11p、横40p、縦30pのポリバットの底にダニ繁殖中の粉末飼料(マウス、ラッテ飼育用、CE−2)150gを均一にひろげ、この上に10pX10pの大きさに切った検体を左右に1枚ずつ置いた。左右の検体はいづれか一方がセキスイ畳表で他はイ草畳表とした。このポリバットを25℃、R.H.76%で1日間放置後、各々の畳表上にいるダニ数をカウントした。
 ダニ数のカウントは実体顕微鏡(X20)で畳表上に存在する生ダニ数を直接6視野(1視野直径1.1p、0.95cu)観察した合計数とした。
 ダニ係留率(%)は天然畳表にいたダニ数を100%として、人工畳表上の値を求めた。

実験結果:

イ草とセキスイ畳表上にいた生ダニ数をカウントした結果を表1に示した。 実験は平成3年2月28日に開始した。
実験は3連区、すなわち3つのポリバットを並べて行った。

 

表1 セキスイ畳表とイ草畳上に係留していたダニ数。
供試検体
各繰返し実験の生ダニ数
ダニ係留率(%)
1
2
3
合計
セキスイ畳表
7
2
6
15
7.4
イ草畳表
61
79
64
204
100
各ポリバット底にひろげた飼料中のケナガコケダニ密度は
飼料0.5g当り399匹(424匹、381匹、393匹)であった。

 

考察:

本実験では明らかにセキスイ畳表にいたダニ数が少なかった。これは、セキスイ畳表には特にダニを忌避する効果はないが、ダニが好んで、この上にとどまることもないのに比べ、イ草の畳表はイ草がダニの餌となり得るため、この上を生活の場としていると考えられる。